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【お家のシロアリ対策】5年ごとのシロアリ予防工事は必要ない?

お家のシロアリ対策で5年ごとのシロアリ予防工事は必要ない?

シロアリ予防の基本メカニズム

先ず、シロアリの生態について触れたいと思います。

シロアリの生態と活動周期

シロアリは、女王と王のペアを中心とした社会性昆虫です。
コロニーは女王、王、働きアリ、兵アリ、そしてニンフと呼ばれる階級で構成されています。そしてシロアリの特徴ですが。。。
シロアリは基本的に1年中活動しています。冬眠はせず、冬でも活動を続けますが、温度によって活動量が変化します。代表的なヤマトシロアリとイエシロアリについてみてみましょう。

ヤマトシロアリの場合12〜30度程度で活発に活動し、4〜6度程度でも最低限の活動(木材を食べる活動)は可能です。
イエシロアリは30〜35度程度で活発に活動し、10度前後でも最低限の活動(木材を食べる活動)は可能です。

巣から飛び立ったシロアリの羽アリ

シロアリはコロニーが成熟すると、新たな巣を作るために羽アリが飛び立ちます。この現象を群飛(ぐんぴ)と呼び、種類によって時期が異なります。
ヤマトシロアリの場合は4月下旬〜5月の昼間、イエシロアリの場合は6〜7月の夕方から夜に群飛します。

生息地域ですが、ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全国。イエシロアリは本州南岸以南の沿岸部、南西諸島、小笠原諸島(温暖化の影響で生息地域が拡大傾向)となっています。

床束・大引き・根太に作られたシロアリの蟻道

シロアリは空気の動きを嫌い、静かな場所を好みます。乾燥に弱く生存には水分が不可欠で、湿気が多い所を好みます。餌場と巣を結ぶ「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルを作り、その中を移動します。

シロアリの活動は年間を通じて続くため、季節を問わず対策が必要です。特に、断熱性能の高い現代の住宅では、冬でも活動しやすい環境が整っていることに注意が必要です。

 

現代のシロアリ予防薬剤の効果期間

次に、現在一般的に使用されているシロアリの予防薬剤の効果持続期間についてです。

シロアリ防除に使用される薬剤は環境や人体への安全性にも配慮され、時間とともに自然分解されていくように製造されています。
公益社団法人日本しろあり対策協会が定める基準に基づき、認定防除薬剤の有効期間は5年間に設定されています。
一方、ホームセンターなどで市販されているシロアリ防除薬剤の有効期間は、一般的に6ヶ月から1年程度です。
市販の殺虫剤のほとんどがピレスロイド系で、効果が持続する期間は最長でも1年間とされています。
これらの市販薬剤は、専門業者が使用する薬剤と比べて効果期間が短いことに注意が必要です。専門業者が使用する薬剤は、一般的に5年間の効果が認められています。
市販の殺虫剤を使用する際は、その短期的な効果と安全性に注意を払う必要があります。

やはりシロアリ対策としては、専門業者による5年ごとの予防処理が最も効果的で安全な方法としておすすめです。

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5年という期間が生まれた背景

シロアリの防除薬剤の効力は現在5年間となっています。
では、どのような経緯で有効期間が5年に設定されたのでしょうか。

その理由として環境への配慮が挙げられます。これは安全性の確保にも繋がっています。

過去には強力な作用を持つ薬剤が使用されていましたが、環境や人体への悪影響が懸念されるようになりました。
そこで、財団法人日本しろあり対策協会は、認定する薬剤の有効期間を5年と定めました。
この5年という有効期間は、環境保護と効果的なシロアリ対策のバランスを取った結果であり、安全性と効果の両立を目指したものと言えます。この結果業界全体で基準が統一され一般的に、現在シロアリ予防・駆除に使用される薬剤は5年間の効果持続期間を持つように設計されることになったのです。

 

5年ごとに予防が推奨される理由

シロアリ防除薬剤の効果の減衰

シロアリ防除薬剤の効果は5年間というお話をさせて頂きました。現在使用されている薬剤は、環境への影響を考慮して一定期間で自然に分解されるように作られています。

シロアリ予防薬剤の効果減少イメージ

薬剤は5年間一定の効力があるわけではなく、散布直後から時間の経過とともに防除効果が弱まるように設計されているのです。
分解の要因としては熱、水分、強アルカリ、強酸、金属イオンバクテリアなどが挙げられ、5年が経過した頃には、シロアリ予防の効果はほとんどなくなっています。

このため効果の減衰を考慮し、5年ごとに一度の防除処理を行うことがシロアリ発生を防ぐポイントとなってきます。

 

家屋の構造や立地条件による影響

ベタ基礎なら予防工事は必要ない?

建物の構造や立地状況は、シロアリが侵入するリスクに影響が有ります。構造の面では近年では基礎がベタ基礎の建物が増加しています。

基礎がベタ基礎だからシロアリ対策をしなくても良いのでしょうか?確かにベタ基礎の場合は布基礎に比べてシロアリが侵入しにくい特徴を持っていますが、残念ながら完全に侵入を防ぐことはできません。

(ベタ基礎)防湿コンクリートと基礎立ち上がり部分のわずかなすき間から侵入したシロアリ
<シロアリ被害>ベタ基礎の住宅にも侵入

ベタ基礎でもシロアリ被害のリスクは完全にはなくなりません。築年数が経つにつれ、シロアリ被害の発生率は高くなる傾向に有ります。
国土交通省の調査によると、ベタ基礎の築10〜14年の建物でも6.4%の発生率があるというデータも有ります。

 

ベタ基礎でシロアリが侵入する経路

基礎の セパレーター部の隙間、配管立ち上がり部の隙間又は配管部の断熱材、基礎のひび割れなどが挙げられます。
また、構造躯体が鉄骨の建物もあります。鉄骨の住宅も木材を使用している箇所が少なからず有ります。このため木材の部分はシロアリの被害に遭う可能性が有ります。

 

このように一見シロアリの被害に遭いにくい印象のベタ基礎の建物や鉄骨の建物もシロアリに対して完全ではありません。定期的な点検と予防処置を行うことが重要です。

立地条件としては家の近くに川や池、田んぼ、庭木などが有る場合などにも注意が必要です。シロアリは湿気を好みます。このような立地環境の場合は、特に定期的なシロアリ予防をおすすめいたします。

 

気候や環境の変化によるシロアリの活動範囲の広がり

近年の気候変動は、シロアリの分布にも影響を与えています。
具体的には気温の上昇に伴い、シロアリの活動が活発になってきており、現在は寒冷でシロアリが分布できない北方域にも分布可能域が拡大する可能性も有ります。

気候の面では、温暖化がシロアリの活動の活発化につながっていますが、建物の敷地内の環境変化にも注意を払う必要が有ります。

シロアリ被害に遭った生垣の杭<シロアリ被害>生垣の杭 シロアリ被害に遭ったウッドデッキ<シロアリ被害>ウッドデッキ

具体的にはウッドデッキの腐朽、使用しない木材の放置などです。特に木材が地面に接触しているような状況は要注意です。知らず知らずのうちに敷地内がシロアリの住みやすい状況になってはいないでしょうか。

 

住宅のシロアリリスクの高い場所

シロアリの活動リスクが高い条件

シロアリは湿度が高く、暖かい場所を好みます。
具体的には以下のような場所は注意が必要です。

 

外基礎断熱のスタイロフォームのシロアリ被害<シロアリ被害>外基礎断熱材

最近は断熱性の高い住宅も増えています。
基礎の外側のスタイロ断熱材はシロアリの侵入経路となる危険性が高いと言えます。人にとって快適な環境がシロアリの活動も促進する可能性があります。

これらの環境要因を理解し、5年毎に適切なシロアリ予防策を講じることが、シロアリ被害のリスクを低減するために重要です。

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どれくらいの頻度でシロアリ予防が必要か?

「5年ごと」の予防工事で必ずしも被害に遭わないわけではない

シロアリ防除工事をする場合は、建物の床下全面施工がおすすめです。

なぜなら、全面施工で5年間の保証をお付けできるからです(例外もあり)。
特にシロアリ被害に対する駆除工事の場合は、被害箇所部分のみ施工する部分駆除を実施する場合も有りますが、この場合保証はお付けできません。また部分施工の場合、薬剤処理されない箇所へシロアリが移動してしまい、新たな被害を生む可能性が有ります。
部分施工の場合は、費用面でも全面施工より安く施工できるメリットも有る反面、シロアリが再侵入する危険性が高いことは押えておかなければなりません。

シロアリ薬剤の効力は5年間となっており、それを根拠に保証期間は5年間となっています。薬剤の効力が無くなった状態でシロアリが再度侵入しないよう5年毎のシロアリ予防工事が推奨されています。

 

家や地域の状況、薬剤の種類に合わせた柔軟な判断が重要

防腐防蟻施工を建築時に行う法的な根拠としてはどのようになっているのでしょうか。

まず、建築基準法では防腐防蟻措置として以下のような記述があります。

柱、筋かい及び土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。

措置を講じなければならないとしており、具体的な規定は有りません。

次に住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、劣化の軽減に関することとして地面より1m以内の木部分への防腐防蟻対策と、地盤への防蟻対策を講じることを規定しています。
ベタ基礎は防蟻の有効な対策と位置付けられています。またフラット35の規定では耐久性・可変性に関する基準として防腐防蟻に関する規定が有ります。この場合も地盤の防蟻対策はベタ基礎が選択肢となっています。
これらを踏まえてですが、建築時には土壌への防蟻薬剤散布木部への防腐・防蟻薬剤散布を実施してシロアリ被害に対して5年保証というのが一般的です。(ハウスメーカー様によっては10年)

しかし、工務店様の仕様によってはベタ基礎の場合は、土壌への防蟻薬剤の散布を実施せず、木部のみの防腐防蟻施工の実施で、防蟻の保証が無い場合も有ります。このケースの場合は少し注意が必要となります。

確認が必要なポイント

床下断熱工法とは床下に対して断熱材を設置しているため、床下は屋外空間となる

①基礎パッキンなどで換気を取っており「床断熱」しているか

この場合は、基本的に床下へ薬剤散布しても大丈夫です。

 

基礎断熱工法とは基礎に対して断熱材を設置しているため、床下も屋内空間となる

②「基礎断熱」仕様で床下が居住環境扱いか

基礎断熱の場合、再予防に当たっては床下への薬剤散布ができかねるので別途対策が必要となります。
この場合は建物への外周施工かベイト工法で予防的な対策が可能な場合が多いです(ただし保証はお付けできない場合が有ります)。
また、建築時に基礎外周にパイプを配管し、パイプに空いた穴から薬剤を土壌に散布するタームガードという施工方法も有ります。これは基礎ができて土で埋め戻す前にパイプの施設を行う必要が有るため、設計の段階からプランに組み込む必要が有ります。 ▶タームガードとは

いずれにしても、建築時の防腐防蟻の保証が無い場合は工務店様からのお引渡しから5年目の点検のご案内が無い場合があります。
ご心配な場合は、お施主様にてお建てになられた工務店様や防蟻施工業者へのお問い合わせをおすすめします。

なお、ベタ基礎で有ってもシロアリの侵入を完璧に防げるものでは有りません。築年数が経過すると侵入のリスクは高まります。基本的には5年ごとの防蟻施工をおすすめいたします。

床下が低くかつ基礎内側断熱のためベイト工法を実施<シロアリ駆除>床下が低く全面施工が困難なケース

シロアリ駆除の現場では、建物の構造によっては床下が低床で全面施工が困難なケースも存在します。基礎外側断熱仕様で断熱材のスタイロからシロアリが侵入しているケースでは、液剤のみでの駆除が困難です。このような場合は状況により部分的な液剤施工やベイト工法を選択して対処することが必要になります。

そもそも通常の液剤使用にご不安な方もいらっしゃいます。そのような場合も状況によりベイト工法をおすすめすることとなります。

建物の状況などに合わせて柔軟に対応策を判断していくことが重要となります。

 

シロアリ対策は専門家に相談を

効果的なシロアリ対策を立てるには、専門家と相談しながら進めることをおすすめします。

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専門家による点検を受け、床下、外回りなどを詳しくチェックしてもらい、被害の有無や程度を確認してもらいましょう。

専門家のアドバイスを受けながら、自身でできる対策も組み合わせることで、無駄なく効果的なシロアリ対策を実現できます。
更に建物をシロアリ被害から守るためには5年毎の予防工事が有効となります。

 

まとめ

お家を長持ちさせるためには、建物を支える土台や柱などの骨組みを守る必要がある。そのためにシロアリ予防工事が欠かせない

以下のポイントを抑えて、シロアリ被害に遭わない長持ち住宅・健康住宅を維持していきましょう。

 


 

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ライター 甕
<保有資格>
しろあり防除施工士/1級建物アドバイザー/第二種電気工事士
<プロフィール>
趣味はマラソンで、休日はマラソンのためのポイント練習でロング走をする場合が多いです。
白蟻被害の様々なケースに対応してきているため、状況に応じた適切なアドバイスには自信が有ります。

 

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