薬剤散布して、シロアリにどう効くの? 公開日:2024年4月17日/更新日:2024年4月24日 こんにちは、アドバイザーをしております倉谷と申します。主にシロアリの調査・点検をしております。 皆様よりお困りの際、点検にお伺いし状況に応じて対処方法をご提案させて頂いております。 今回は、シロアリの薬剤散布について散布方法やシロアリへの薬剤効果をお話したいと思います。 目次 Toggle 薬剤散布はどこにするの?薬剤の種類即効性と遅効性の2種類の薬剤薬剤はどう効くの?悩まずに相談しよう 薬剤散布はどこにするの? 長野県で確認されているシロアリは地下型のヤマトシロアリという種類になります。ヤマトシロアリは必ず地中から建物に取り付き建物を食害します。床下で被害を広げ、さらには床上に上がってきたりと被害を広げる侵入経路となります。その性質上、ほぼ床下を確認すると蟻道が確認でき被害の状況を確認することが出来ます。 その性質を踏まえ考えられる侵入経路や被害部に薬剤を散布・注入を施します。薬剤には土壌用と木部用の2種類があります。基本、土壌用は床下の土壌面に散布、木部用には防腐剤も含まれており床下の木部に散布・注入を行います。 薬剤の種類 シロアリの薬剤には、いろいろな種類がありピレスロイド系・ネオニコチノイド系・有機リン系・非エステルピレスロイド系・フェニルピロール系・フェニルピラゾール系・カーバメート系・天然物系など数種類ありそれぞれ有効成分があります。弊社では、ピレスロイド系とネオニコチノイド系の2種類を使用しており効き目が即効性(忌避性)の薬剤と遅効性(非忌避性)の薬剤を使用しています。即効性と遅効性については次に説明させて頂きます。 それぞれ、被害状況を確認しながら特性を活かし薬剤を選定し使用します。 ちなみに薬剤は原液のままでは散布せず、水を既定の希釈倍率で加えしっかり撹拌し散布します。 即効性と遅効性の2種類の薬剤 薬剤には、即効性薬剤(忌避性)と遅効性薬剤(非忌避性)があります。 即効性は薬剤に触れると早い段階でシロアリに効果が表れます。ただ効果は早いのですが触れなかったシロアリは警戒し別の場所へ移動してしまう可能性(忌避の為)があります。そのような性質を持っていますが薬剤散布後、文字通り忌避性なのでシロアリが嫌がり薬剤効果が続く限り寄り付かなくなります。ただ薬剤は永久ではなく経年にて効果は薄れていき約5年位が効果のある期間になります。 もう一方の遅効性ですが、こちらはじわじわと効果を発揮します。散布すると即効性と同様に警戒はしますが即効性が無い事、非忌避性の特性上、嫌がって移動することは多少ありますが落ち着けば普段通りの生活に戻ります。ここがミソです。それじゃあ、意味がないのではと思いますね。ところが、ここからが遅効性の見せ場です。体についた薬剤に気付かずシロアリ同士がグルーミング※を行う際、薬剤を体内に取り込みゆっくりと巣全体に伝播させていき死滅させる仕組みです。 ※グルーミングとは・・・病気にかからないよう抗菌作用のある唾液でお互いの体を舐めあう習性のこと。 薬剤はどう効くの? 弊社で使用している薬剤は、シロアリにどう効くのか。結論からお話しすると両方ともシロアリの神経に効く薬です。 神経は神経細胞同士が繋がっており、微弱の電気信号が流れ神経伝達物質で指示を出すネットワークになっていますが、そのネットワークの誤作動を起こさせ死に至らしめる効果があります。 シロアリの神経に効く薬と言われると人には大丈夫なのかと心配になるのは当然の事だと思います。人体の安全性を確保している薬剤になりますので、ご安心ください。 悩まずに相談しよう シロアリと薬剤について説明をさせて頂きましたが、なかなか理解しづらかったかもしれません。シロアリの被害はないけど予防として工事をしたい方、実際に被害にあって工事をしたくても薬剤が気になってどうしようとなる方も大勢いらっしゃいます。そんな時は自己判断せずご家族や専門家の方に、悩まずに相談することをお薦め致します。 ライター 倉谷健吾 <保有資格> しろあり防除施工士/気密測定技能者/木造建築物の組立て等作業主任者/一級建物アドバイザー 長野県出身 50代です。 なかなか頻繁には行けませんが神社やお寺に行く事が大好きです。あの背筋が伸びる厳粛で凛とした空気は心地がよく、とても落ち着きます。好きな方も、そうでない方も是非行ってみて下さい。お薦め致します。