被害が増えているシロアリと床下断熱材について 公開日:2024年4月25日/更新日:2024年4月26日 こんにちは。アドバイザー部の千秋です。 皆様、最近お家の断熱リフォーム工事が注目されているのをご存じですか? 電気代・ガス代の値上に伴いランニングコストや環境負荷の改善のために有効とされています。 ただこの断熱、シロアリ被害にあってしまうケースもあります。 今回は昨年実施した調査において、実際にあった断熱材のシロアリ被害の中でもかなり衝撃的な体験がありましたのでご紹介したいと思います。 目次 Toggle 【要注意】発砲系断熱材のシロアリ被害厄介な内基礎断熱のシロアリ被害断熱材からのシロアリ侵入を防ぐために【5年ごと】シロアリ点検・予防が大事 【要注意】発砲系断熱材のシロアリ被害 断熱材にも色々な種類がありますが、シロアリ被害に特に遭いやすいのが発泡系断熱材のシロアリ被害です。 発泡系断熱材とは、発泡プラスチック系とも呼ばれており、他の断熱材に比べて軽く施工の自由度も比較的高い断熱材と言われています。 (例)吹き付けウレタンフォーム、フェノールフォームなど 発砲系断熱材は、内基礎断熱や外基礎断熱など基礎断熱によく使われています。近年の建物は新築時にシロアリの予防工事を施工してから、お客様にお引渡しという流れになりつつ有りますが、一昔前だと新築時にシロアリ予防をせず断熱材を施工してお引き渡しする建物も意外とありました。 今回紹介する被害にあった物件は、お引き渡し前にシロアリ予防がされていなかった建物になります。 この建物は内基礎断熱施工をしている住宅になります。 とは言え、この断熱施工ではせっかくの断熱材が力を発揮できていないのですが、わかりますでしょうか? 断熱材を基礎面内側に接着させ地中に埋めているのですが、断熱をしているはずの基礎には地窓(換気口)がついているので気密性が低く、断熱効果が十分に得られません。 さらには、赤線で囲われている箇所、血管が薄く浮き出ているような感じですが、実はシロアリの蟻道が断熱材の中に作られている跡なんです。 厄介な内基礎断熱のシロアリ被害 内基礎断熱の場合、基礎と断熱材の間から侵入されるケースが多いです。 地中に断熱材が埋まっているので、一度入られてしまうと、調査するにも駆除するにも断熱材を壊すしかありません。 今回は特に被害範囲が広いので8畳間一室程度の範囲で、断熱材を剥ぐこととなりました。 断熱材を通って上がってくれば当然基礎の上にある土台や大引きなどもシロアリ被害は甚大です。 上の写真、本来はドライバーで打診したりしますが、断熱材を剥がすために今回はバールを使用しました。 軽い力で叩きますが、写真のように木が脆くなりバールが簡単に刺さってしまいます。大引きも束も中はスカスカの状態だったので大がかりな大工さんの改修が必要になりました。 意外にも、断熱の歴史は浅く、高気密・高断熱が注目を集め採用され始めたのはここ数年の話になります。30年ほど前の住宅は断熱がまだ注目を集めていない頃になるため、「床下の断熱方法と防蟻をセットで考える」という情報が少ない状況でした。内基礎断熱の特徴に合わせた防蟻や構造が不十分であるとシロアリに侵入されてしまい、一度シロアリに入られるとこのようになってしまいます。 ※シロアリ注意。あまり拡大しないほうがいいです。 断熱材からのシロアリ侵入を防ぐために ざっと回ってみると本当に「シロアリ大帝国」と言える状況でした。 こうなってしまうとせっかく入れた断熱材も壊すことになりますので、当然断熱欠損にもなり、寒くなってしまいます。 シロアリの駆除方法にも様々ありますが、今回は広範囲での被害、被害の進行状況から断熱材を剥がす形でしっかり駆除することになりました。 【5年ごと】シロアリ点検・予防が大事 外基礎断熱や内基礎断熱に用いられる発泡系断熱材はシロアリ被害に遭いやすいというデメリットがあります。 発泡系断熱材の採用を検討中の方は、シロアリ予防を5年ごとに実施することが必須になるため、その費用もランニングコストに加えて考慮する必要があります。 予防を行わずにいるとシロアリ被害は拡大し家の土台となる木部が脆くなり、震災時の倒壊の危険性や床が軋むたわむことで、立て付けが悪くなったり扉の開け閉めがしづらくなるなど、日常での実害もでてきてしまいます。 すでに、発泡系断熱材を採用している住宅は一度点検を行い被害がないか、確認することが重要です。 ぜひ我々専門家にご相談ください。 それと薬剤にはどうしても有効期間(保証期間)があります。 しばらくシロアリ予防をやっていない、という場合はこの有効期間(保証期間)が過ぎている可能性がありますので、ぜひ予防をご検討ください。 定期的な予防工事をすることで、まずシロアリに入られない家というのがやはり大事だなと思う事例でした。