【自分でできるシロアリ点検】 プロが教える点検のポイントや注意すること 公開日:2024年4月22日/更新日:2024年12月27日 シロアリは家の構造に深刻なダメージを与える害虫ですが、早期に発見すれば被害を最小限に抑えることができます。 プロの手を借りる前に、自分で点検を行うことで、シロアリ被害の有無や危険サインをいち早くキャッチすることが可能です。 この記事では、専門家の知識をもとに、自分でできるシロアリ点検のポイントや注意すべき点をわかりやすく解説します。初心者でも簡単に始められるチェック方法から、点検の際の注意点まで、シロアリ対策の第一歩を踏み出しましょう。 目次 Toggle シロアリ点検のチェックポイント建物回り(外周)のシロアリ点検①基礎に蟻道はないか②庭にシロアリはいないか③庭の木材に虫食いがないかシロアリ被害と似ている腐朽菌による腐れ屋内のシロアリ点検①屋内にシロアリはいないか②屋内の木材に虫食いがないか床下のシロアリ点検①床下に蟻道ができていないか②床下にシロアリはいないか③床下の木材に虫食いがないか点検時に準備した方が良い物専門業者の手を借りる シロアリ点検のチェックポイント 長野県で被害の多いヤマトシロアリは地中に暮らし、木材を餌としています。そのため、庭や床下から建物に侵入してきます。シロアリ点検する場所は次の通りです。 庭などの建物周り(外周) 屋内 床下 それでは、順番にチェックポイントを確認しましょう。 建物回り(外周)のシロアリ点検 シロアリの屋内への侵入はほとんどが建物の床下からになりますが、建物の基礎(一般的にはコンクリートでできているものが多い)の外周から侵入することもあります。外からの蟻道(ぎどう:シロアリが侵入してくる土でできた立体的なトンネル)ができていないかを点検してください。仮にそういったものがあればシロアリの被害がある可能性が高いです。 また、敷地内にシロアリが確認されても屋内に侵入されているとは限りません。庭でシロアリが確認できた場合は、建物に侵入されないようにより注意が必要ということになります。 具体的な点検箇所と内容は以下のようになります。 建物周りの点検箇所 建物周りの点検内容 木製の残材(廃材) 木製の杭や花壇囲い 切り株 基礎に蟻道はないか シロアリはいないか 木材の虫食いがないか それでは、写真を見ながらしっかりと確認していきましょう。 ①基礎に蟻道はないか 基礎のコンクリート部分にこのような土でできた道ができていないか確認してください。特に荷物などで陰になり人目につかないところを注意しましょう。エアコンの室外機の裏側や板などが壁面に立てかけられているところなども要注意です。 基礎のチェック時の注意点として、このように入隅(いりすみ)になっているところは見逃し易いので、シロアリの蟻道がないかしっかりと確認しましょう! ②庭にシロアリはいないか 残材などは裏返してシロアリがいないかどうか、あるいは食害された跡がないかどうか確認してください。 シロアリの羽アリ シロアリ ③庭の木材に虫食いがないか 杭や花壇囲いなどは抜けるものでしたら抜いて確認しましょう。なんともないように見えても、地面との接地面から侵入し、木材がスカスカになっていることがあります。 また、切り株など動かせないものについてはマイナスのドライバーなどを用いて打診あるいは突き刺してみて食害がないかどうか試してみてください。 シロアリ被害と似ている腐朽菌による腐れ このようなものはシロアリによる食害ではなく褐色腐朽菌による腐れです。(ただ専門家でないとわかりにくいです) 蟻道があった・シロアリがいた場合は、シロアリが家のどこまで侵入し被害を与えているか確認し、駆除が必要です。 もし、お家への侵入はなかったとしてもお家のシロアリ予防をされていなければ、侵入のリスクは高まります。シロアリ駆除や予防はプロにご相談ください。 屋内のシロアリ点検 アドバイザー歴17年の経験上、屋内でシロアリの被害が多かったところは上の画像の通りです。 玄関や風呂場など、湿気が多い場所やタイルの目地からの水漏れなどによってシロアリを呼び寄せてしまうことがあります。 具体的な点検箇所と内容は以下のようになります。 屋内の点検箇所 屋内の点検内容 玄関や勝手口の框(かまち) 玄関や勝手口のドア タイル風呂のドア枠 押し入れの奥 襖や障子の枠と柱が接している部分 畳寄せ(和室で畳と壁の間を埋める木) シロアリはいないか 木材の虫食いがないか それでは、写真を見ながらしっかりと確認していきましょう。 ①屋内にシロアリはいないか ヤマトシロアリの羽アリは、4月~5月頃に巣から一斉に飛び立ちます。シロアリの羽アリがいないか確認しましょう。 また、畳を上げると下に敷いていた新聞紙を食害しているシロアリに遭遇することもあります。シロアリは、新聞紙・段ボール・本なども食べてしまうので長年放置しているものがあればチェックすることをおすすめします。 シロアリの羽アリ シロアリ ②屋内の木材に虫食いがないか シロアリ被害があると次のようなことが起こります。目視の他に打診などでしっかりと確認をしましょう。 木材に穴があいている 叩くと空洞音がする 床がきしむ・沈む ドアや窓の建付けが悪くなる 床下のシロアリ点検 シロアリの調査では床下での点検がメインになります。 床下への侵入口は床下点検口・床下収納庫などあらかじめ床下へ入ることを想定した箇所から入ります。ただ、建物によってはそれらの侵入口がないものもあります。そういった場合は和室の畳を上げて床板を外したり切ったりする必要があります。 具体的な点検箇所と内容は以下のようになります。 床下の点検箇所 床下の点検内容 基礎の立ち上がり 束石 束柱・大引き・根太 玄関框裏 給水管と保温材の隙間 断熱材 蟻道ができていないか シロアリはいないか 木材の虫食いがないか それでは、写真を見ながらしっかりと確認していきましょう。 ①床下に蟻道ができていないか 基礎の立ち上がりや束石にできた蟻道は比較的見つけやすいかと思います。 こちらは、ちょっと土汚れがついているぐらいにしか見えないですが、マイナスドライバーで突いてみると、シロアリの食害に遭っているため刺さってしまいます。木材の内部が食べられたことで空洞ができ、木がもろくなっていることが分かります。 木部は目視だけでなく、打診をすることでシロアリの被害に気付くことがあります。 玄関框(かまち)裏です。上の写真では蟻道は見られないので一見食害にあっているように見えないのですが打診をしたら音が変だったので突いてみると被害にあっていたという状態です。実際は確認できない玄関の土間からシロアリが侵入したものです。ですから特に玄関付近は打診を必ず行う必要があります。 このように給水管と保温材との間に蟻道を作られるとなかなか見つけられません。保温材をずらして蟻道がないかチェックしてみましょう。 こちらは断熱材の中に作られた蟻道ですが、下ばかり見ていると見落としてしまいます。 シロアリによる断熱材被害は意外と多くあります。断熱材に血管のような跡が浮き出ていればそれはシロアリ被害の可能性が高いのです。 ▼こちらもご覧ください。 被害が増えているシロアリと床下断熱材について ②床下にシロアリはいないか こちらは、巣から飛び立った羽アリが蜘蛛の巣に引っ掛かり死んでしまったようです。 シロアリは蟻道や木材の中に巣を作り移動しているため、床下でシロアリの姿を直接見ることはほとんどないと言えるでしょう。ただ、羽アリは巣から飛び立つと羽を切り落とすため、大量の羽が落ちている、なんてことがあればシロアリがいる可能性があります。 ③床下の木材に虫食いがないか 写真右上の木部に穴があいているのが分かりますが、これがシロアリの食害跡です。目視で気づかない被害もありますので、打診などでしっかりと確認をしましょう。ドライバーの柄などで木部を叩いて空洞音がするようであれば被害に遭っている可能性があります。 点検時に準備した方が良い物 汚れてもよい服装・・・・作業用のつなぎが望ましい マスク・・・・できれば防塵マスク ライト・・・・両手をフリーにするために額に装着するタイプが望ましい 手袋・・・・ビニール製で手首より長めのものが望ましい 帽子・頭巾 防塵用のカメラ マイナスドライバー 建物の図面・・・・自分のいる場所やシロアリの被害のある場所を確認するため ホイッスル・・・・いざというときに近くにいる人に助けを求めるために必要 専門業者の手を借りる 建物回りや屋内の点検はまだしも、床下の点検は大変な作業で尚且つ難易度も高いものになります。 経験がないとシロアリ被害を見落としてしまう可能性が高く、さらに身に危険を及ぼすことも多くあります。 例えば、床下は狭いことが多いので無理やり入って出ることが出来なくなるとか、蛇やネズミなどの生物がいて嚙まれたり、釘などの突起物で怪我をしたり…等々警戒しないといけないことが多くあります。 シロアリの建物への侵入のほとんどは床下からになりますので、それらを踏まえて専門業者に依頼されることが最善の方法かと思います。ほとんどの専門業者は、点検・見積りまでが無料ですので、自分で床下に入るのはさすがに難しいと感じる方、新築予防の1度のみでしばらく点検や予防を行っていない場合には、1度点検依頼してみるのが良いですね。 弊社は、地元の工務店様や大手ハウスメーカー様から新築シロアリ予防・点検・シロアリ駆除の依頼を受けている、長野県内で実績を積んだ専門業者です。シロアリ被害が気になる方は、お気軽にテオリアランバーテックまでお問い合わせください。 ライター Kazutaka Futatsugi <保有資格> 蟻害・腐朽検査士/しろあり防除施工士/一級建物アドバイザー/毒劇物取扱者/甲種危険物取扱者/第二種電気工事士/第一種衛生管理者<プロフィール> 大学では木材化学を専攻、「木を活かす技術」を持って応えるプロフェッショナル集団テオリアランバーテックに入社後は一般家屋を中心に4000件超の点検・アドバイスを実施 休日には地元信州の山々に登り、大自然を満喫しています