シロアリ駆除は自分でできる?手順・限界・業者に頼むべき判断基準 公開日:2026年4月8日/更新日:2026年4月8日 執筆者千秋 充弘 しろあり防除施工士/1級建物アドバイザー 長野県出身。シロアリアドバイザー歴6年。年間400件ほどの現場点検に携わり、多くの住宅を見てきました。特に”なんちゃって内基礎断熱”が原因でシロアリ被害が広がった現場が印象に残っています。被害を防ぐためにも定期的な点検が大切です。一軒一軒の出会いを大切にしながら、住まいを守るお手伝いをしています。趣味は食べること。実は愉快なオタクです。 みなさんこんにちは、アドバイザーの千秋です。 「シロアリ駆除は自分でできるのだろうか?」と疑問に思って検索している方も多いのではないでしょうか。 結論から言うと、住宅のシロアリ被害は自分で完全駆除するのは難しく、見える範囲の応急処置にとどまることがほとんどです。 実際に、建物内でシロアリを見つけた際に市販の殺虫剤やシロアリ駆除剤を購入し、目に見えるシロアリに吹き付けて「駆除できた」と感じる方もいます。ですが、その後に別の場所からまたシロアリが出てきて、調査のうえ駆除工事が必要になったケースもありました。 シロアリは床下や壁の中、天井裏など見えない場所で活動していることが多く、表面に出てきた個体だけを駆除しても、巣や侵入経路が残っていれば再発する可能性があります。そのため、住宅への被害が疑われる場合は、自己判断で対処するよりも専門業者による調査と駆除を検討することをおすすめします。 ▼この記事でわかること ・シロアリ駆除は自分でどこまでできるか ・自分で対処してはいけないケース ・市販薬で対応できる範囲と限界 ・専門業者に相談すべきタイミング 目次 Toggle まず確認|本当にシロアリ?シロアリとクロアリを見分ける3つのポイント主なシロアリの種類と生態シロアリ被害のサイン|家の中で起きる異変羽アリが室内に出る基礎に蟻道がある木材がスカスカになる床がフカフカする自分でシロアリ対処を検討する前に知っておきたいことシロアリは自然界では必要な生き物住宅のシロアリ対策で大切なのは「侵入させないこと」自分で対処できるケース・できないケース庭木や木杭など住宅外の被害被害が小さいと思っても判断は難しい家の中で被害がある場合シロアリ調査は簡単ではないどうしても自分で対処するなら知っておきたい方法と注意点市販のシロアリ駆除剤の種類駆除の基本手順自分で駆除するときの注意点自分で行うリスク自分で駆除するメリット・デメリットメリットデメリット再発防止のためにできるセルフ対策住まいの湿気・通気改善木部・土壌への予防処置定期的な点検・監視住宅被害の場合は専門業者の調査が必要 まず確認|本当にシロアリ? シロアリとクロアリを見分ける3つのポイント 家の中で羽アリを見つけると「シロアリでは?」と不安になる方が多いですが、実際にはクロアリの羽アリである場合も少なくありません。 しかし、シロアリは木材を食べて住宅の柱や床などを内部から劣化させる害虫であり、放置すると建物の耐久性に大きな影響を与える可能性があります。一方、クロアリは木材を食べることは基本的になく、建物構造への被害はほとんどありません。 見分ける際は、次のポイントを確認すると判断しやすくなります。 体の形 シロアリはくびれのない寸胴の体をしています。クロアリは胸と腹の間にくびれがあります。 触覚の形 シロアリの触覚は数珠状でまっすぐに伸びています。クロアリの触覚は途中で「く」の字に曲がっています。 羽の大きさ シロアリは4枚の羽がほぼ同じ大きさです。クロアリは前の羽が大きく、後ろの羽は小さいという違いがあります。 ▼おすすめの記事 シロアリとクロアリの見分け方|特徴・被害・対策を徹底解説! 主なシロアリの種類と生態 シロアリかどうかを見分けた後は、どの種類のシロアリなのかを知っておくことも重要です。種類によって被害の広がり方や生態が異なるためです。 ヤマトシロアリ 長野県で最も被害が多い種類です。湿った木材を好み、床下や浴室まわりなど水分の多い場所で発生しやすい特徴があります。寒冷地にも適応しているため、長野県内全域で広く確認されています。 イエシロアリ 温暖な地域に多いシロアリで、大規模な巣を作り建物全体に被害が広がることがあります。長野県内では発生の報告は受けたことがありませんが、近年は分布が拡大する例も報告されています。 アメリカカンザイシロアリ 乾燥した木材の内部に生息する外来種です。家具や輸入木材などを介して持ち込まれることがあり、家の中の木材だけで生活するのが特徴です。 これらのシロアリは春から夏にかけて群飛し、女王を中心とした階級社会を形成します。生態系では木材分解の役割を担いますが、住宅に被害を及ぼすことがあります。 シロアリ被害のサイン|家の中で起きる異変 シロアリ被害は、床下や壁の中など見えない場所で進むことが多く、気づいたときには被害が広がっている場合があります。家の中で次のような異変があれば、シロアリ被害を疑いましょう。 羽アリが室内に出る 室内で羽アリを見つけた場合、家の中や近くでシロアリが活動している可能性があります。特に同じ場所にまとまって発生しているときは注意が必要です。 基礎に蟻道がある 基礎や束石に土の筋のようなものが付いている場合、シロアリの通り道である蟻道かもしれません。蟻道は床下や木部への侵入サインの一つです。 木材がスカスカになる 柱や巾木、敷居などの木材がもろくなっていたり、たたくと空洞音がしたりする場合は、内部でシロアリ被害が進んでいることがあります。 床がフカフカする 歩いたときに床が沈む、やわらかく感じる場合は注意が必要です。特に水まわりでは、シロアリや腐朽によって床下の木材が傷んでいる可能性があります。 ▼おすすめの記事 シロアリ被害の『初期症状』『進行中のサイン』は? 放置したときのリスクや対策を紹介 自分でシロアリ対処を検討する前に知っておきたいこと シロアリと聞くと「すべて駆除すべき害虫」という印象を持たれがちですが、まず知っておきたいのは、自然の中にいるシロアリを完全になくすことは現実的ではないということです。大切なのは、シロアリという生き物の性質を理解したうえで、住宅に被害を出さない対策を考えることです。 シロアリは自然界では必要な生き物 シロアリは住宅に被害を与える一方で、自然界では倒木や枯れた木を分解し、土に還す役割を担っています。森林の中では、土壌の循環を助ける大切な生き物でもあります。 そのため、庭や土の中にシロアリがいること自体が、すぐに異常とは限りません。問題なのは、そのシロアリが住宅に侵入し、木材を食害することです。シロアリ対策では、「自然界からすべて排除する」という考え方ではなく、「家に入れない」「被害を出させない」という視点が重要になります。 住宅のシロアリ対策で大切なのは「侵入させないこと」 住宅のシロアリ対策で最も大切なのは、家の中で見つけたシロアリだけをその場で駆除することではなく、そもそも侵入されにくい状態をつくることです。シロアリは床下の湿気が多い場所や、水漏れがある場所、木材や段ボールなどが放置された場所を好みます。 そのため、床下の通気を確保する、水漏れや雨漏りを放置しない、家のまわりに不要な木材を置かないといった対策が大切です。シロアリ対策は「出てきたら退治する」だけでは不十分で、侵入経路を断ち、住みにくい環境を保つことが再発防止にもつながります。 自分で対処できるケース・できないケース シロアリ対策は、すべてを自分で行えるわけではありません。被害が住宅の外なのか中なのか、また見えている範囲だけの問題なのかによって、対応の考え方は大きく変わります。大切なのは、「どこまでなら自分で対処できるのか」「どこからは専門業者の調査が必要なのか」を見誤らないことです。 庭木や木杭など住宅外の被害 庭木や木杭など、住宅本体ではない場所でシロアリが確認された場合、被害箇所を直接処理するだけであれば自分で対応できるケースもあります。目に見える範囲の木材に薬剤を処理すること自体は、それほど難しくありません。 ただし、庭のシロアリ対策と、家に侵入したシロアリの駆除は別ものです。土の中にいるシロアリの動きはプロでも完全には見えず、どこから住宅へ近づいているかを把握することはできません。シロアリは自然界では倒木の分解や土壌の循環に関わる生き物でもあるため、すべてを駆除するという考え方ではなく、家に被害を出させないことが重要です。庭にシロアリがいる場合は、将来的に住宅へ侵入する可能性もあるため、必要に応じて専門業者による予防を検討した方が安心です。 被害が小さいと思っても判断は難しい シロアリ被害は、見えている範囲だけでは判断できません。表面上は一部だけの被害に見えても、壁の中や床下など見えない場所で食害が広がっていることがあります。そのため、「被害が小さいから大丈夫」と自己判断するのは危険です。 実際には、被害が軽いと思って自分で薬剤を使った結果、別の場所にシロアリが移動し、あとから被害が広がって見つかることもあります。被害の大きさよりも、被害範囲を正しく確認できるかどうかが重要です。 家の中で被害がある場合 家の中で羽アリが発生している、木材が傷んでいる、床がフカフカするといった異変がある場合は、自分での対処は基本的におすすめできません。住宅内の被害は、見えている場所以外にも広がっている可能性があるためです。 この段階では、その場しのぎの駆除よりも、まずは被害の有無と範囲をしっかり調べることが大切です。異変を感じた場合は、「とりあえず薬をまく」のではなく、調査を優先して考える必要があります。 シロアリ調査は簡単ではない シロアリ調査は、目に見える虫や被害箇所を確認するだけでは終わりません。床下、壁の内部、基礎まわり、木部の状態などを総合的に見ながら、侵入経路や被害範囲を判断する必要があります。 そのため調査には、根気・知識・技術が求められます。見た目だけで判断すると誤りやすく、必要な処置を見落としてしまうこともあります。自分で対応するか迷う場合ほど、まずは専門的な視点で確認することが大切です。 どうしても自分で対処するなら知っておきたい方法と注意点 市販のシロアリ駆除剤の種類 市販品は部分的な対策に向いており、被害が広い場合は専門業者への相談が安心ですが、どうしても自分で対処するなら、ホームセンターなどで市販のシロアリ駆除剤を購入できます。 主に、シロアリに直接噴射するスプレータイプ、毒餌を巣に持ち帰らせるベイト剤、木材や床下に使う予防・処理剤があります。 駆除の基本手順 住宅のシロアリ被害を自分で完全に駆除するのは難しいため、ここで紹介するのはあくまで見える範囲への応急処置です。家の中で被害が疑われる場合は、自己判断で進めすぎず、被害範囲の確認を優先しましょう。 ・被害箇所や異変を確認する 羽アリ、蟻道、木部の傷みなど、見えている範囲の異変を確認します。 ・保護具を着用する 薬剤を使う前に、手袋やマスクを着用し、皮膚や吸気への付着を防ぎます。 ・薬剤の表示をよく確認する 使用方法・使用量・対象箇所を確認し、説明書どおりに使います。 ・見える範囲だけに限定して処理する 木材の表面や確認できる隙間など、手の届く範囲にとどめます。 ・処理後も再発がないか確認する いったん見えなくなっても安心せず、別の場所で羽アリや蟻道が出ていないか確認します。 ・異変が続く場合は専門業者に調査を依頼する 家の中で再発する場合は、床下や壁内で被害が進んでいる可能性があります。 自分で駆除するときの注意点 シロアリ駆除を自分で行う場合は、見える範囲への応急処置にとどめることが大切です。床下や壁の中など見えない場所で被害が進んでいることも多く、表面だけの処理では根本解決にならない場合があります。 薬剤を使う際は、説明書をよく読み、使用方法や使用量を守りましょう。自己判断で大量に散布したり、蟻道を壊したりすると、かえって被害状況が分かりにくくなることがあります。 自分で行うリスク 自分で駆除する最大のリスクは、被害範囲を正しく把握できないまま対処してしまうことです。見えているシロアリだけを処理しても、壁の中や床下で活動が続いていれば再発するおそれがあります。 また、薬剤の使い方によってはシロアリが別の場所へ移動し、被害が広がることもあります。費用を抑えるつもりが、結果的に駆除や修繕の負担が大きくなるケースもあるため注意が必要です。 自分で駆除するメリット・デメリット ここまで見てきたように、シロアリ駆除を自分で行える場面は限られます。それでも、被害の場所や範囲によっては、自分で対処することに一定のメリットがあります。一方で、住宅のシロアリ被害では見えない部分の判断が難しく、デメリットの方が大きくなるケースも少なくありません。 メリット 自分でシロアリ対処を行うメリットは、見える範囲の小規模な被害であれば、安く、すぐに対応しやすい点です。プロに頼むと高額になりがちな駆除費用も、ホームセンターなどで購入できる薬剤で対応する分には、費用を抑えられる場合があります。 特に「庭の木の杭」や「物置の木材」など、家本体ではない場所の小さな被害なら、気付いたその日に自分で応急的に対処しやすいでしょう。また、業者を家に上げたり、床下を点検されたりする手間や心理的な負担がないのも利点です。 デメリット 一番の怖さは、見えない場所で被害が続く可能性がある点です。 ヤマトシロアリは、壁の中や床下など目に見えない場所で活動していることが多く、手の届く範囲だけ処理しても根本的な解決にならない場合があります。 また、表面だけに薬をまいても、生き残ったシロアリが家の別の場所へ移動して食害を広げるおそれがあります。さらに、「被害は小さい」と思っていても、実際には見えない場所で広がっていることもあるため、被害範囲を見誤りやすい点にも注意が必要です。 そのため、自分での対処はあくまで限定的な応急処置と考え、再発を防ぐには普段から侵入しにくい環境を整えておくことが大切です。 再発防止のためにできるセルフ対策 シロアリ対策は、駆除して終わりではありません。再発を防ぐには、シロアリが入り込みにくく、住みつきにくい環境を保つことが大切です。特に意識したいのは、湿気をためないこと、エサになるものを家のまわりに放置しないこと、そして異変を早めに見つけることです。 住まいの湿気・通気改善 シロアリ再発防止の秘訣は、「湿気」と「エサ」をなくすことです。 具体的には、床下の通気口をふさがず風通しを良くし、エサとなる庭の古い木材や段ボールを処分しましょう。 また、雨漏りや水漏れはシロアリを呼び寄せるため、早めに直すことが肝心です。 最後に、基礎のコンクリートに「蟻道(土のトンネル)」がないか定期的に見回るだけで、再発のリスクはぐっと抑えられます。 木部・土壌への予防処置 シロアリの再発防止では、木部や土壌への予防処置が有効な場合があります。特に、過去に被害があった住宅や、湿気が多くシロアリが入りやすい環境では、あらかじめ木材や土壌に薬剤処理を行うことで、被害のリスクを抑えやすくなります。 ただし、住宅全体を対象にした木部処理や土壌処理は、薬剤の選び方や施工範囲の判断が重要です。自己判断で部分的に行っても十分な予防効果が得られないことがあるため、住宅の予防処置については専門業者に相談した方が安心です。 定期的な点検・監視 シロアリ被害は、見えない場所で進行することが多いため、再発防止では定期的な点検が欠かせません。羽アリの発生、基礎まわりの蟻道、木材の傷み、床のフカつきなど、小さな異変でも早めに気づくことが大切です。 特に、一度シロアリ被害があった家は再発リスクを意識する必要があります。自分で見える範囲を確認することも大切ですが、床下や壁の内部までは十分に確認できません。だからこそ、定期的に専門業者の点検を受けながら、早期発見と早期対応につなげることが再発防止の近道です。 住宅被害の場合は専門業者の調査が必要 ここまで見てきたように、シロアリ対策には自分でできることもありますが、住宅の中で被害が疑われる場合は、専門業者による調査が必要です。シロアリは床下や壁の中、基礎まわりなど見えない場所で活動するため、表面だけを見て被害の有無や広がりを正確に判断するのは簡単ではありません。 特に、羽アリが室内に出る、基礎に蟻道がある、床がフカフカする、木材がもろくなるといった異変がある場合は注意が必要です。こうした症状は、すでに見えない場所で食害が進んでいるサインである可能性があります。その場しのぎで薬剤を使うよりも、まずは被害範囲と侵入経路を確認することが大切です。 専門業者による調査では、床下や木部の状態、侵入経路の有無、被害範囲などを総合的に確認し、必要な処置を判断します。自己判断で対応して被害を見逃してしまうより、早めに調査を受けた方が、結果的に被害や修繕負担を小さく抑えられることも少なくありません。 「これくらいなら大丈夫かも」と迷う段階こそ、早めの確認が重要です。住宅に関わるシロアリ被害は、自分で無理に駆除しようとせず、まずは専門業者に相談して状況を正しく把握することをおすすめします。 ▼次のような方は、早めの点検がおすすめです。 ・室内で羽アリを見つけた ・基礎に蟻道のようなものがある ・床がフカフカする ・市販薬を使ったが不安が残る 気になるサインがある方は、被害が広がる前に一度ご相談ください。 ▼シロアリの駆除点検ってどんなことをやるの? テオリアランバーテックでは、長野県内全域で無料の床下調査を行っております。