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【疑問解消】シロアリってゴキブリの仲間? 生態や弱点を知り、効果的な対策をしよう!

今回この記事では、シロアリの驚くべき生態、そして弱点を知り効果的な対策について解説しています。

多くの研究によってわかった、新しく不思議な生態や有益な情報を合わせてご紹介します。

 

シロアリ、実はゴキブリの仲間

さて、家屋の木材を食害することで知られているシロアリ。

名前に『アリ』とはつくものの実は『蟻』とは別の生き物です。

なぜなら、蟻とシロアリは先祖が異なるのです。

シロアリはゴキブリの仲間で、シロアリとゴキブリは生物学上同じ種類として分類されており、過去をたどれば同じ先祖へたどり着きます。

また、シロアリとゴキブリは似た遺伝子を持っている他、湿気や暗闇を好むなどの共通点もあります。

蟻はハチ目・スズメバチ上科・アリ科の生き物で蜂の中でもアシナガバチやスズメバチに近い生き物です。

シロアリは昆虫綱ゴキブリ目に分類され、日本で家屋を食害する代表的なイエシロアリ、ヤマトシロアリはミゾガシラシロアリ科に属します。

 

シロアリの大きさ・コロニーの規模は?

シロアリは卵・幼虫・成虫という順番で成長しますが幼虫は成虫と同じような姿をしており、『不完全変態』の昆虫です。

『不完全変態』とは、幼虫、若虫(ニンフ)から、蛹(サナギ)にはならず、直接成虫に変態する昆虫を言います。

 

シロアリとクロアリの完全変態と不完全変態について

 

 

シロアリは視力がなく振動やフェロモン(化学信号)を使ってコミュニケーションを行い、紫外光や可視光といった光に応答して行動することが知られています。注釈1)

シロアリは社会性昆虫であり、女王、王、兵隊蟻、職蟻、ニンフなどの階層が見られます。

シロアリ1頭のサイズは約5mm位。

1つのコロニーのサイズは数千から数万頭にも及びます。

 

白蟻の進化過程

シロアリは進化の過程上、下等シロアリと高等シロアリに分類されます。家屋を食害するヤマトシロアリとイエシロアリは下等シロアリに属します。

写真はシロアリの働き蟻です。

白蟻の働き蟻

ウレタン断熱材にできた蟻道から羽アリがでた様子。

ウレタン断熱材にできた蟻道からでた羽アリ。ウレタン断熱材がシロアリ被害に遭った事例。

注釈1)大村和香子・片岡厚・木口実(2011):ヤマトシロアリの走行性に及ぼす波長の影響、環動昆

 

シロアリの餌と腸内エネルギー生産の仕組み

シロアリというと一般的に木を食べると連想されるかと思いますが、具体的にはその主成分であるセルロースを食べています。すこし専門的になりますが、ヤマトシロアリを使った実験ではセルロースを分解する原生生物の細胞内共生細菌は、セルロース分解時に副産物として生じた二酸化炭素と水素を使って、シロアリのエネルギー源である酢酸をつくり出す機能がわかってきています。また、細胞内共生細菌は、セルロースには乏しい窒素源を空中の窒素を窒素固定して獲得し、固定した窒素を栄養価の高いアミノ酸などに変換する機能があることも明らかになってきました。

これらの機能は、原生生物の代謝と密接に協調することで高い活性を示し、原生生物自身の代謝にも有利に働くことが分かっています。シロアリにとって重要な働きをする原生生物と細菌が細胞内での共生関係を進化させることで、セルロース資源を有効利用し、足りないものを効果的に補うという高効率な生物システムが、シロアリ腸内につくられているのです。注釈2)

 

注釈2)理化学研究所(理研)バイオリソースセンター微生物材料開発室の大熊盛也室長らの研究チーム2015年5月12日
シロアリは腸内微生物によって高効率にエネルギーと栄養を獲得
-セルロースを分解する原生生物とその細胞内共生細菌が多重機能により共生-

 

シロアリ餌探知の仕組み

ヤマトシロアリの職蟻を使った実験結果※注釈3)によると、シロアリは餌の枯渇した場所から餌の潤沢にある場所に移動するにあたって、ある集団のなかの特定の一部の個体が先に餌を探し当てそこへ集団があとから移動します。

移動する過程では各個体がバラバラで移動するパターンや数頭の小集団ごとの移動パターンも見られたという結果がわかっています。

また、シロアリの集団の中でも歩行速度の速い個体がいて、その個体が集団に先んじて周囲を探査している可能性があるとのことです。

つまりシロアリの職蟻の中で個性ともいえる行動の違いが見られるのです。

このことは餌を探知したシロアリの後から集団が移動してくる前に対策をとることで集団の移動を阻止できる可能性を示唆しています。

注釈3)熊本高等専門学校 拠点化プロジェクト系/生物化学システム工学科 木原久美子准教授の実験による「シロアリ集団の餌探索に関する行動学的解析」

 

シロアリの女王は長寿

以外と知られていないかと思いますがシロアリの生殖虫(女王・王)は長寿で、一般的に短命な昆虫の中にあって10年以上の長寿を誇ります。

長寿・多産という生存・生殖能力をもっているのです。

ヤマトシロアリを使った研究ではヤマトシロアリは他の昆虫に比べて非常に優れた抗酸化システムを有していて特に長寿の生殖虫では抗酸化酵素、酸化傷害修復酵素が長寿命と高い生殖能力に積極的に働いている※注釈4)ことがわかってきました。具体的にはこの抗酸化物質は尿酸で、女王は低酸素状態の環境で好気呼吸を抑制して嫌気代謝をおこなうことがわかってきています。

また低酸素状態で産卵を始めるのです。

女王は巣の中枢のような低酸素条件を好み、そのような環境に合わせて代謝調整を行い、生殖活動をしているのです。

女王になかなかお目にかかれないのはこのような理由からなのですね。

シロアリの女王

羽を落としたシロアリ

 

白蟻の兵隊蟻

白蟻の兵隊蟻

 

シロアリの弱点 寒さ・体の乾燥・そして天敵

シロアは冬眠しませんが冬季は活動が鈍くなります。

ただ、シロアリが生息している住宅環境によっては気温が下がらず活動を継続する場合も有ります。

ヤマトシロアリの場合好適温度は12℃から30℃前後と言われています。

また気温が6℃を下回ってくると活動が低下する傾向になります。

つまり、冬季といえども床下などの環境は注意が必要と言えます。

 

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シロアリの弱点と天敵

次にシロアリの弱点と天敵とは何でしょう?

弱点としては、直射日光と乾燥状態です。乾燥・高温化では体の水分が奪われ死んでしまいます。

天敵ですが、黒蟻はシロアリを捕食します。

またシロアリの羽蟻をツバメが捕食しているのは羽蟻の飛ぶ時期には見かける光景です。

それ以外でもモグラや蜘蛛などが挙げられます。

なので、シロアリは日光を避け、湿気の多い床下を好み、かつ天敵との接触を極力回避していると言えます。

 

外蟻道と床下の束石から木部へ登る蟻道

 

効果的なシロアリ対策

シロアリは約1億5千万年前から1億7千万年前にゴキブリから分岐し、進化してきました。

その生存戦略には驚かされるものが有ります。

地球環境にとっては有益な部分もあるのは確かです。

ただ住宅などへの食害は放置できません。

シロアリはその侵入を事前に察知するのは容易ではありません。

なので有効な対策としては

①床下や家屋周りの定期的な点検

②シロアリ被害に遭う前に予防薬剤散布による予防措置

が主なものとなります。

被害に遭ってしまうと被害程度によっては改修費用もかさむ可能性が有ります。

たいせつな家をシロアリから守ためにはやはり事前の予防策が重要です。

 

 

 

シロアリ防除について

 

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