シロアリ駆除は本当に必要ない?不要と思われがちな家ほど注意すべき理由 公開日:2026年1月20日/更新日:2026年1月20日 監修者藤森 淳 しろあり防除施工士/蟻害腐朽検査員 長野県岡谷市出身。シロアリ対策のアドバイザーとして約20年の経験を持ち、これまでに延べ8,000件の現場に携わってきました。 現場での判断を重視し、過去には被害があまりにも深刻だったため、建て替えをおすすめした物件もあります。 仕事で大切にしているのは、「必要ないものはすすめない」という姿勢。住宅の状態を正しく見極めたうえで、本当に必要な対策を提案することを心がけています。 「シロアリ駆除は必要ないのでは?」と考える方は少なくありません。 しかし、実際の現場では被害が表に出ていないだけで、床下や構造内部で静かに進行しているケースが非常に多いのが実情です。 本記事では、「必要ない」と思われがちな理由と、放置した場合に起こり得るリスクを、実例を交えて整理します。 目次 Toggle シロアリ駆除は「必要ない?」と考えられる理由シロアリ被害は目に見えにくい庭先で見つかったシロアリ被害の例冬直前でも活動していた事例実際に多い「シロアリ駆除は必要ない」と思われがちなケース鉄骨造・RC造の住宅だから大丈夫と思っている実際の被害ケースベタ基礎だからシロアリは来ないと思っている新築・築浅だからまだ不要だと思っているそれでもシロアリ駆除・対策が必要な理由シロアリ被害は「気づいた時には進行している」雨漏れがあると被害が一気に拡大するシロアリ被害を放置した場合に起こる3つのリスク地震・災害時に住宅被害が拡大する断熱材に侵入すると断熱効果が弱まる住宅強度の低下により不動産価値が落ちるシロアリ駆除の方法と考え方液剤散布によるシロアリ駆除ベイト工法によるシロアリ駆除どの駆除方法を選ぶべきかの判断基準時期とタイミング5年経過後がターニングポイント現状把握が大事よくある質問(FAQ)Q1:シロアリ駆除しないとどうなる?Q2:DIYで駆除できる?Q3:費用はいくらくらい? シロアリ駆除は「必要ない?」と考えられる理由 シロアリは、普段どこにいるのでしょうか。実は、非常に身近なところに生息していることに、ほとんどの方が気づいていません。 庭先を注意深く観察してみると、シロアリの痕跡が見つかることは珍しくありません。 シロアリ被害は目に見えにくい 庭先で見つかったシロアリ被害の例 こちらは、あるお宅に調査に伺った際にお庭で撮らせていただいた写真です。この木杭が、シロアリに食われた後の状態です。 木には年輪があり、比較的硬い部分となりますが、そこを残して間の柔らかい部分を食べるのがシロアリの食害の特徴です。 冬直前でも活動していた事例 もう1例、別の調査事例をご紹介します。 木のかたまりが地面にポンと置いてありますが、これを裏返してみたところ、内部にシロアリが確認されました。 この調査は11月、まもなく冬になる前の南信のあるお宅でした。 つまり、シロアリ自体はどこにでも生息している可能性があるのです。(ここでのシロアリは、「ヤマトシロアリ」、北海道南部以下、日本全域に生息しています。) では、なぜこれほど身近に生息しているにもかかわらず、「シロアリ駆除は必要ない」と判断されてしまうのでしょうか。 その背景には、住宅の構造や築年数に対するよくある誤解があります。 実際に多い「シロアリ駆除は必要ない」と思われがちなケース 鉄骨造・RC造の住宅だから大丈夫と思っている 「鉄骨住宅だから、シロアリ被害は関係ない」と思われている方、多くの方がそう考えがちです。ただ、これも実際は違いますし、シロアリ被害はあります。 確かに、構造体は鉄骨なので、さすがに倒れてしまうような被害は無いのですが、造作には、ほぼ木材が使われています。 この木材部分が、被害に遭う可能性があるのです。ある鉄骨住宅での被害例をご紹介しましょう。 実際の被害ケース 和室の障子戸の枠部分がシロアリ被害に遭ってしまいました。 床下へ潜って確認してみると、蟻道(シロアリの通り道)が作られていました。 木造であるか、鉄骨であるかで違いはなく、鉄骨住宅でも蟻道を作られてしまう可能性は十分にあるのです。 そして、やっかいなのが、このように被害に遭ってから、初めてシロアリの存在に気付くことが大半なのです・・・。 ベタ基礎だからシロアリは来ないと思っている 「ベタ基礎だから、シロアリは来ない」これも、実際は違います。ベタ基礎でも、侵入例はあります。 写真の通り、ベタ基礎でも蟻道は作られてしまうことがあります。 確かに、地面が露地のお宅よりは、侵入しにくいことは間違いないと思いますが、だからと言って、侵入しないことにはなりません。注意は必要です。 新築・築浅だからまだ不要だと思っている 新築から8年経過、床下は土間コンクリートが打たれているお宅です。何ともなさそうに見えますが、蟻道(シロアリの通り道)を作られていました。 新築時にシロアリ予防工事をしているお宅であっても、薬剤効力が失われる(5年程度で自然分解、最終的に効力は消失)と、被害を受けてしまうケースもあります。 それでもシロアリ駆除・対策が必要な理由 シロアリ被害は「気づいた時には進行している」 シロアリ被害の大きな特徴は、発見された時点で、すでに内部では被害が進行していることが多いという点です。 というのも、シロアリは主に床下や構造内部など、普段目にすることのない場所から侵入・活動します。そのため、床がきしむ、柱が弱くなるといった分かりやすい変化が床上に現れる頃には、内部ではすでに被害が広がっているケースが少なくありません。 実際の現場でも、「特に異変を感じていなかった」「羽アリが出て初めて気づいた」という状態で発見されることが多く、気づいた時には対処が必要な段階まで進行しているケースがほとんどです。 このように、シロアリ被害は初期段階ほど発見しにくく、結果として放置されやすい性質を持っていることが、被害を大きくする要因になっています。 雨漏れがあると被害が一気に拡大する 更に、シロアリ被害は雨漏れが併発すると、非常にやっかいです。 長野県に生息している「ヤマトシロアリ」は、自身で水を運ぶ能力は無いと言われています。 従って、床下から侵入しますが、通常はせいぜい1階の床から腰の位置くらいまでしか上に上がれません。 但し、雨漏れがある場合は、雨漏れしている水が上にあるので、その部分までいっきに上がってしまいます。最悪の場合、2階まで被害が及んでしまうケースもあるのです。 シロアリ被害を放置した場合に起こる3つのリスク 地震・災害時に住宅被害が拡大する シロアリは柱・土台・梁など、住宅を支える重要な構造材の内部を食害します。表面からは分かりにくくても、内部が空洞化しているケースは少なくありません。 この状態で地震や台風などの外力が加わると、本来耐えられるはずの揺れでも倒壊や大きな損傷につながるリスクが高まります。構造材自体が弱っていれば効果は十分に発揮されません。シロアリ被害の放置は、災害時の安全性を大きく損なう要因となります。 ▼こちらの記事もおすすめ シロアリによる侵食で家が全壊することはないが、なぜ駆除や予防を推奨するのか 断熱材に侵入すると断熱効果が弱まる シロアリは木材だけでなく、床下や壁内の断熱材の中にも侵入します。断熱材が食害・劣化すると、隙間が生じて空気が動きやすくなり、断熱性能が低下します。 シロアリ被害が進行していると本来の断熱性能を維持できないため、住み心地と省エネ性の両面で損失が生じます。 住宅強度の低下により不動産価値が落ちる シロアリ被害が確認された住宅は、資産価値の面でも大きなマイナス評価を受けやすくなります。 売却時や相続時の建物調査で被害が判明すると、 ・修繕費を差し引いた査定になる ・買い手が見つかりにくくなる ・大規模補修を前提とした価格交渉を受ける といった事態になりがちです。特に被害が長期間放置されている場合、補修範囲が広がり、結果的に修繕コストも資産価値の下落幅も大きくなる傾向があります。 シロアリ駆除の方法と考え方 シロアリ被害が確認された場合、重要なのは「いま起きている被害を止めること」と「将来の再発を防ぐこと」を切り分けて考えることです。 その前提を踏まえたうえで、ここでは代表的な2つの駆除方法と判断基準を、専門家の視点で整理します。 液剤散布によるシロアリ駆除 シロアリ駆除で最も一般的なのが、液剤を用いた土壌処理・木部処理です。 床下や被害部位に薬剤を散布・注入することで、シロアリの活動を抑制できる即効性が特長です。 土壌処理 床下土壌に薬剤を散布し、地中からの侵入経路を遮断します。 木部処理 土台など被害を受けた木材に直接薬剤を注入し、内部のシロアリを駆除します。また、被害の無い木材に対しては、吹き付け処理を行います。 この2つを併用することで、現在の被害対策と再侵入防止を同時に行える点が大きなメリットです。 使用される薬剤は、ネオニコチノイド系やピレスロイド系が主流で、いずれも施工基準に基づき使用すれば居住中の住宅でも問題のない安全性が確保されています。 効果の持続期間はおおむね約5年が目安とされています。 ▼薬剤の種類や効果の詳しい解説はこちら。 【シロアリ予防・駆除】薬剤散布してシロアリにどう効くの?安全性は大丈夫? ベイト工法によるシロアリ駆除 ベイト工法は、建物を傷めずに巣ごと根絶を目指す方法です。 建物周囲に餌剤を設置し、シロアリがそれを巣に持ち帰る習性を利用します。 餌剤には成長や脱皮を阻害する成分が含まれており、時間をかけて巣全体に行き渡ることで、女王を含むコロニーの消滅を狙います。 ・効果が出るまでの目安:2〜6ヶ月程度 ・即効性はないが、構造を傷つけない ・定期的な点検・管理が前提 この工法は、床下に入れない住宅では有効な選択肢となります。 どの駆除方法を選ぶべきかの判断基準 シロアリ対策で最も重要なのは、「どの工法が優れているか」ではなく、「その住宅の状況と目的に合っているか」という点です。 たとえば、床下に実際に入って調査・施工ができる住宅なのか、あるいは構造上それが難しいのかによって、選択肢は大きく変わります。 床下に入れる場合は、被害箇所を直接確認したうえで液剤処理が可能ですが、入れない場合は、建物外周から対処できる方法を検討する必要があります。 また、すでにシロアリ被害が確認されているかどうかも、重要な判断材料です。 被害が発生している場合は、いま活動しているシロアリを確実に止める対処が優先されますし、被害が見つかっていない場合でも、侵入の兆候や環境条件によって対応は変わります。 さらに、見落とされがちなのが、被害の「範囲」をどこまで把握できているかという点です。 シロアリ被害は、目に見える一部分だけで終わっているとは限らず、床下や構造内部に広がっているケースも少なくありません。 このように、 ・床下に入れるかどうか ・被害が確認されているかどうか ・被害範囲を把握できているかどうか といった条件を整理しないまま、「この方法が良さそう」「安いから」といった理由で駆除方法を決めてしまうのは非常に危険です。 現地調査を行わずに最適な駆除方法を判断することはできません。 だからこそ、シロアリ駆除が「必要ないかどうか」を自己判断してしまう前に、まずは現状を知ることが最も確実なシロアリ対策です。 時期とタイミング シロアリ駆除で「いまの被害」を止めたあとは、いつ・どのタイミングで次の対策を考えるかが重要になります。 5年経過後がターニングポイント シロアリ対策を考えるうえで、まず理解しておきたいのが「駆除」と「予防」は役割が異なるという点です。 駆除:すでに発生しているシロアリ被害を止めるための対応 予防:被害が出ていない、または駆除後に、再侵入・再発を防ぐための対策 駆除は「いま起きている被害」への対応であり、予防は「これから起こり得る被害」を防ぐための対策です。 この2つを混同してしまうと、対策のタイミングを誤ってしまいます。 新築時にシロアリ予防工事を行っている住宅は多いですが、その薬剤効力は一般的に約5年となります。薬剤は5年かけて徐々に分解し、最終的に無力化します。 したがって、シロアリ対策を考える上で、最初のポイントが5年目になり、このタイミングで予防工事していただくことで、防蟻バリアが切れる前に、次の対策へとつなげることができます。 更に、5年ごとに定期的に予防工事をしていただくことがベストです。 5年でバリアが無くなるので、バリアを貼り直すと捉えていただければ、わかりやすいでしょうか。 ただ、ご家庭により事情が違ってくるので、あくまでもできる範囲で5年ごとの点検・予防を基本サイクルとして考えることが、結果的に大きな被害を防ぐことにつながります。 現状把握が大事 シロアリはとても身近に生息していますが、その存在にほとんど気付かれないまま被害が進行するという特徴があります。 この状況を防ぐために重要なのが、「分からないままにしないこと」、つまり現状を把握することです。 まずは、現在の住宅がどのような状態なのかを確認するため、床下調査を依頼してチェックすることが第一歩になります。 ・シロアリ被害の有無 ・侵入の兆候がないか ・床下はすべて確認できる構造か 実際に調査してみると、全ての床下に入れないケースが多く見られます。 被害があるかどうかに関わらず、まずは現状を正しく知ったうえで、駆除が必要なのか、予防で足りるのか、いつ対策すべきかを判断することが、無駄のないシロアリ対策につながります。 床下の調査は、長野県で選ばれて37年以上のシロアリ駆除・対策のプロ「テオリアランバーテック」にお任せ下さい。 よくある質問(FAQ) 最後に、実際によくいただく質問をまとめました。 Q1:シロアリ駆除しないとどうなる? 被害中の建物では、退治しないと(バリアしないと)床下木材を食われ続けますので、被害は更に進行します。 初期段階では、シロアリ駆除工事「のみ」で対処できますが、食われ続けてしまうと、食われた部分は直さない限り、元には戻りません。 場合により、建物を直すための「修繕費用」が別途、掛かってしまいます。とても大きな損失になります。 普段見えない部分のことなので、とにかくわからないことだらけだと思います。 まずは、現状どうなのか、建物の床下状況を把握するため、床下調査をおすすめ致します。被害有る無しに関わらず、被害に合わないように、予防工事で、シロアリからお家を守りましょう。 Q2:DIYで駆除できる? 一時的な対処は可能ですが、根本的な解決にはなりません。 市販の殺虫スプレーや燻煙剤で見えているシロアリを駆除することはできますが、これはあくまで表面駆除です。シロアリは木材内部や地中で生活しているため、巣そのものを処理できなければ再侵入のリスクが高くなります。実際、DIY後に被害が拡大して発見されるケースは少なくありません。 そのため、被害の範囲や侵入経路を把握したうえで対処できる専門業者による調査・施工が不可欠になります。 Q3:費用はいくらくらい? 実際、シロアリ駆除工事をするために、費用はいくらかかるのか。 金額は、「1階の床面積」×「平米価格」で計算します。 たとえば、1階の床面積が60㎡だとすると、60㎡ × 3,000円=180,000円(税別)となります。弊社ではこのような価格設定になります。 ※実際の費用は、被害の有無や床下の状況、施工範囲によって前後するため、正確な金額は調査後にご案内しています。 長野県でシロアリについてお困りの方は、テオリアランバーテックにお気軽にご相談ください。